INTRODUCTION
はじめにやわらかな朝の陽射しがホール北側の壁にそそぐ。私の好きな光景だ。
私が設計を依頼したジン・アーキテクツの増田浩隆氏は、"自然の光に満ちた空間"をもつこの建築の基本設計に二年要した。と言うより、二年も私に付き合ってくれた。会社の将来や建築に対する思いを互いにぶつけ、納得するまでは妥協しない、いつしかそんな私達の流儀が生まれた。
建築場所は立地条件のそれほど良くない郊外であるが、広い土地にゆとりのある低層の建物を建てることで企業の存在感を示そうと考えた。
土地の有効利用という経済性は無視されているが、この建物がもたらす企業の宣伝効果はその懸念を充分払拭してくれている。
建築の要素には企業イメージを具現化する為に様々な拘りを孕んだ。
結果として、これ等の拘りは建築の細部に至ることになり、全体的な統一感を醸し出しているようだ。
方々から関心を寄せられており、建築の持つパワーに改めて感心させられる。
EXTERIOR
外観株式会社チョープロは半世紀に渡りプロパンガス事業を中心に仕事をしてきました。
旧社屋の老朽化に伴い、新たに本社機能の充実に加え地域社会とのより良い関係を構築することを目的に本社社屋は建替えられました。
設計にあたり、ガス事業という日常生活に不可欠なインフラを取り扱う企業として、これから社会的に求められるチョープロのあり方を新社屋を通して具現化し、訪れた人たちがこの建物に足を踏み入れた瞬間にチョープロが目指す姿勢と可能性が伝わる空間にしたいと考え設計を進めました。
街並みへの配慮から、3700㎡の広い敷地に対し建築面積870㎡地上2階建の低層の建物を十分にゆとりをもって配慮し積極的に敷地内及び屋上の緑化に努めました。
INTERIOR
内観この建物は、シンプルな立方体でつくられています。
この立方体は、長崎の歴史的建物の多くに使用されてきたレンガを意識しながらさらに我々のイメージにふさわしい質感を持った2種類の特注レンガタイルの壁によって囲われています。
建物内部の半分を吹抜けとし、必要最低限の間仕切を残し、柱、床の段差、家具などで領域を隔てながら常に人の動きが視界に入る開かれた「仕事場」をイメージして計画されました。
さらに、吹抜北側の白いレンガタイルのみに光が差すトップライトや建物に組込まれたコートからの間接的な自然光によって柔らかい光に満ちた穏やかな空間を作り出しています。
FACILITIES
設備低い温度設定で大きな効果が得られている温水床暖房やラジエーターパネルに冷温水を通水する輻射式冷房、外気を調節しながら同時に水洗浄し室内へ供給する湿式デシカント空調などの人と環境にやさしい設備システムを採用しています。